昨日、令和3年度第2回支援者交流セミナーを開催し無事終了いたしました!
当初はこのセミナーは月に開催を予定しておりましたが
新型コロナウィルスオミクロン株の感染拡大により3月に延期し
オンライン配信での開催に変更させていただきました。
また乙訓地域でのひきこもり支援ネットワークづくりにおける課題を洗いだす
ワークショップを行う予定でしたが、安心して参加いただくことを第一に考え
事前に皆さんから課題をいただきそれを元に南丹地域の事例を合わせながら
ゲスト講師とのディスカッションと行う形を取らせていただきました。
今回ゲストにお招きしたのは乙訓ももも参加している京都府脱ひきこもり支援プロジェクト
「チーム絆」で南丹地域を担当されている「学びの森」の北村真也先生と
南丹地域での不登校・ひきこもり支援ネットワーク会議のHUBメンバーである
総合生活支援センターしょうかえんの和田センター長のお二人。
まず第1部で不登校やひきこもり支援に取り組まれている「学びの森」の
北村先生に「学びの森」について紹介していただきました。
「学びの森」はフリースクールを母体に活動されており、
まずひきこもり問題とは切り離せない不登校について、
次にひきこもり支援を始めたきっかけや経緯についてお伝えいただきました。
日本社会で不登校やひきこもりの数が減らないどころか増えていく中で、
行政が支援の枠組みを作る前に自分たちで目の前にいる人に手を差し伸べるために
情報を共有する仕組みを作るのに必要な支援者に声を掛けていったそうです。
不登校の子どもたちと接する中で、問題を個人に置くのではなく
社会側に問題があるのでは捉えなおし、当事者にあった環境(社会)を変えることで
その人に変容が生まれることに気づかれたそうです。
問題はあくまで個人と社会との関係性の間で起こるのであって、
個人ではなく社会(環境)をそれぞれに合った形に変えようという考えです。
なるほど、確かにその通りだと感じました!
ひきこもり状態にある人たちがそうなってしまった原因(何かしらのつまづきや
家庭環境、その人の成育歴や特性、社会の状況など)はひとそれぞれ異なるので、
ひきこもり支援もその人にあったオーダーメイド型のものが必要であるとされています。
ですので、その人自身のみにアプローチするのではなく、その人の周囲の環境にも
アプローチしてその人に合ったものに変えていくことが必要ということです。
そして第2部では南丹地域の不登校ひきこもりに関するネットワーク会議について
同ネットワークに参加されている「総合生活支援センターしょうかえん」の
和田センター長も交えて発足したきっかけや運営方法などについてお伺いしました。
このネットワーク会議は、教育・福祉・医療・雇用の4分野で
北村先生が個人で声を掛けることから始められたそうで、
分野を超えて多職種が集まる場を作るにあたり、
北村先生が教育関係のネットワークを、和田センター長が障害福祉ネットワークを
すでに構築されていたことが大きかったようです。
初回のネットワーク会議にはなんと30団体も参加され、
10年以上継続されているのは出入り自由で気軽に参加できるのがポイントのようでした。
現在は50人程度が毎回参加されており、7~8グループに分かれてワークショップを行った後
最後に発表をされているそうです。
このネットワーク会議を運営するために核となる4団体が集まるHUB会議を持たれており、ネットワーク会議のテーマやワークショップの内容を企画されているそうです。
またネットワーク会議で北村先生が参加者に一つお願いされていることがあり、
それはそれぞれの肩書を置いて参加してほしいということです。
北村先生はこのような集まりは形式的な形で行うとうまくいかないと考えておられ、
本質的な話をする時に肩書は邪魔になると話されました。
肩書を置いて一個人として本質的なことを本音で話しあう。
それはひきこもり状態にある人は言わば社会の既存の枠組みから抜け出た人たちで、
そのような人たちには既存でない関わりが必要であると考えておられるからです。
またふだん目の前のケースに関わっていると視野が狭くなりがちになるのですが、
ネットワーク会議には様々な職種の人が参加されているので自分とは異なる考え方や
物の見方をする人に出会うことができ、柔軟に思考することの大切さに気づくように
なるそうです。そしてフレキシブルな考えや発想をもって関わる人が増えていく・・・
この育みともいえる仕組みが南丹地域で文化となるようにネットワーク会議を
運営されているそうです。
地域で既存の枠に収まらないひきこもり支援をする文化や土壌を作っておられる
ということなんですね。
恐らく参加者の皆さんは主体的にこの会議に関わっておられるのだと思うのですが、
その理由は楽しい時間を共有できるからだそうです。
その楽しい経験から次第に顔が見える関係性が出来上がっていき、
その中で当事者に合わせた形の小さな支援機関のネットワークが生まれればいいなと
考えておられるそうで。このようなソーシャルワークがひきこもり支援の肝ではないかと
北村先生は話されました。
またこの会議を管理している「学びの森」としては、そこで知った当事者のニーズを
行政に届ける役割を担っておられ、なかなか声を上げられない当事者の声を聞いた時は
行政に届けることは絶対に必要だともおっしゃっていました。
そして第3部は事前に乙訓地域の支援者からいただいた
乙訓地域でのひきこもり支援ネットワークづくりの課題を元にお二人とともに
ディスカッションを行いました。
課題の一つに挙げられた相談の窓口については、それがどこであってもかまわないし、
中心になる支援機関も当事者のニーズによって決まってくるだろうとのことでした。
またひきこもり支援や発達障害などの専門知識を持った職員がいないとの課題には、
本当に専門性って必要なのか?そもそも専門性って何だろうか?というところから始まり
目の前のその人を理解するのに専門性が重要ではなく、逆に専門性が壁になってしまうことだってあるのではないか?との投げかけもいただきました。
専門性を持ちながら既存の枠にとらわれない柔軟な思考をしつつ
支援機関や社会資源をコーディネイトして実践していく、
より高度な専門性に更新していくことが必要だというフレーズが印象深かったです。
また二市一町の足並みは揃わなくてもいいので、
できる所から始めていけばいいとアドバイスもいただきました。
今回の北村先生と和田センター長のお話しで、乙訓地域でのフォーマルな
ひきこもり支援ネットワークを作るための足掛かりを見つけ出せればと考えていましたが、支援ネットワークを作るにはその前段階として「顔が見える、協力し合える関係性作り」が必要だということがわかりました。
そしてその関係性作りはネットワークづくりをゴールに設定するのではなく、
学びあうという姿勢の元に皆が肩書を置いて集まり、本質的なことを話し合うことで
結果的にネットワークづくりがゴールになっていたという道筋を描くということが
大切なのですね。
このような取り組み、集まりを乙訓地域でも作ることができるでしょうか?
まずは動かないと何も始まりません。
そのために、南丹地域ではどのような感じでネットワーク会議を開催されているのか、
見学に行かせていただきたいと考えています!
百聞は一見に如かず、自分の目で確かめて、
声を掛けて集まってもらえる方から集まっていただき、
学びあう中で顔の見える関係性を作っていきたいと思います。
乙訓地域でひきこもり支援ネットワークを作るために
既存の枠組みではない、柔軟な考えで関わる支援の仲間を増やし地域の文化にしていく。
それを実現する地道で着実な方法を教えていただいたように思います。
北村先生、和田センター長、本当にありがとうございました!
まずはネットワーク会議の見学に行かせていただきますので、
よろしくお願いいたします!!
そしてご参加いただいた皆様、お疲れさまでした、心より感謝申し上げます。
いただいたアンケートは今後のセミナー開催やネットワークづくりに活かしてまいります。
そして肩書を置いて話し合う場を作りましたら、
ぜひご参加いただきますようお願いいたします!
皆さんと一緒に乙訓地域でのひきこもり支援ネットワークを作っていきましょう!
よろしくお願いします!
Comments