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執筆者の写真乙訓もも

京都を飛び出し堺へ!竹野染工さん見学日誌!

先週の基礎的就職支援事業は企業見学で、

京都府を飛び出し大阪府は堺市に行ってきました!


見学させていただいたのは「竹野染工」さん。
















会社前で寺田社長と。



同じ法人のバスハウスが取り引きをさせていただいていることから、

今回見学をお願いしたところ、快く引き受けて下さいました。


「竹野染工」さんは江戸時代より和晒産業が盛んな大阪府堺市で昭和36年から

ロール捺染という技術を用いて手ぬぐいや浴衣に柄を染めて製造されている会社で、

ロール捺染の技術を後世に引き継いでいくために同社の寺田社長が数年前に新たなブランド「hirali」を立ち上げられ、今まで培ってこられた技術やノウハウを駆使して

新しいテキスタイルやプロダクトを生み出しておられます。


このロール捺染で手ぬぐいを染められるのは日本ではなんと「竹野染工」さんだけです。













「竹野染工」さんは両面染色(同じ模様で晒の表裏両面を染める方法)を得意としておられ、日本古来の文様と季語をモチーフにした色を使って染めることで今までにない魅力的な手ぬぐいやガーゼストールの他、スヌードなどを作っておられます。
























また「hirali」やネックアンダーウェアのブランドOo[ワオ]では

それぞれに晒をセレクトされており、用途にあった質感・機能・風合いを付与されていますので、デザイン性だけでなく使いやすさや肌ざわりなども追及されている上、

様々なシーンで使えるような商品設計になっています。





















このようなロール捺染の技術を活かした商品を作り上げることで伝統産業を守りたいという寺田社長の思いは、今や海を越えて海外まで届いており、「hirali」や「Oo[ワオ]」の商品はアジアはもちろんイギリスなどでも販売されているそうです。


















またブランド化することで取引先が有名百貨店やこだわりのお店などに広がり、

海外との取引も始まったりメディアでの露出が増えたことで従業員の方々に

ロール捺染という仕事に対するプライドが生まれそれが大きくなり、

その結果若い従業員が増えたそうです。


やりがいを感じることができる職場になった!ということですね。

これは大切なことです。


さて、そんな「竹野染工」さんの見学ですが

寺田社長直々に工場を案内していただきました!





これがロール捺染の機械です。

かなり年期が入っていますね。



職人さんがこの機会を操って

あの見事な両面染めの手ぬぐいが

出来上がります。






  







染めあがった晒を見せて下さる寺田社長。

これは1色染めですが、最大6色まで染められるそうです。

もちろん色数が増えるほど難易度が上がっていきます。 




























機械の上部には大きなドラムのようなものが。

この部分を通ることで染料を乾燥させます。
















ドラムに炎が見えているのがわかりますか?

この熱で乾燥させるわけです。














次に染めに使う型を見せていただきました。

鉄のシリンダーの表面に柄が彫られているのですが

ロール捺染は凹版印刷の原理なので凹んだ部分に入ったインキを

晒に圧着させることで転移させて柄模様に染めていきます。







職人さんはこの型を水で洗浄されるのですが、

冬でも素手で洗われるそうです。


その理由は素手で触って型の表面に凹みや傷が

ないかを確認するためだそうです。


凹みや傷があるとその部分に染料が入ってしまい

柄と同じように染められてしまうからですね。



皮膚感覚で不具合をチェックする。

これもまさしく職人技です。











そして社長が持っておられるのが

刃とよばれるもので、染料のついた型に

この刃を当てることで凹んだ部分以外に着いた

染料をかき落としていきます。




この刃の製作も鋼を磨いて刃に仕上げる

職人さんの手しごとなのです。























これはグラビア印刷という印刷方式の図解ですが、ロール捺染もほぼこれと同じで、

プラスチックフィルムが晒、ドクターが刃、シリンダーが型になります。





特別にこの型を持たせていただいたのですが、かなりの重量でした。

これを一日に何回も上げたり降ろしたりする必要があるのですからけっこうな重労働です。








男性でもかなり重く感じる重量です。








もちろん柄によって型の円周が変わってきますので

円周が小さければ型自体も小さくなり重量も軽くなります。












これは相撲取りの浴衣の型なのですが、

有名力士の名前がいくつもありましたよ!






こちらはロール捺染機。


どんどん柄模様に染められ、

折り重ねられていきます。










下の写真は染めた晒をたたんでいく機械で、100年近く前に作られたものだそうです。












なんだか、もう言葉が出てきませんね。



そしてロール捺染の後はシルクプリントの機械も見せていただきました。







シルクプリントは、孔版画の技法の一種で、

インクが通過する穴とインクが通過しないところを

作ることで製版し、印刷する技法で、シルクを使うかどうかにかかわらず、孔版画の技法のうちメッシュを使うものは

全てシルクスクリーン印刷(プリント)と言います。






「竹野染工」さんではシルクプリントの機械で

比較的小ロットの商品をプリントされています。















写真はプリントした製品を乾燥機に入れていく

作業をされているところなのですが、

6~10秒単位で出来上がってくる

製品を手に取って後ろの機械に吊るしていく

この単純作業はかなりハードだそうで

1時間交代で取り組まれておられます。


見学したメンバーも体験させていただきましたが、

製品は次から次へと出来上がって来て、体をひねっては吊るしての連続作業。

そして乾燥機の前はけっこう暑いんです。

その環境で確かにずっとこの動きはきついでしょうね。








これはシルクプリントの版です。


メッシュ状になっていてそこに染料が入って

プリントされる仕組みですね。











この後、別の作業場も見学させていただいた後、

晒を漂白される工場も見学させていただきました。




晒(さらし)とは、織物の原反から脂分や糊などの不純物を取り除き、

漂白し、品質を均一にする工程、または漂白された糸でできた織物を

さします。本来は生成色(きなりいろ)の木綿や麻が漂白され、

一般的には、木綿生地を晒した晒木綿が「さらし」と呼ばれています。

下の原反は少し茶色がかっていると思います。




















晒には「洋晒」と「和晒」があり、

「洋晒」は添加物を入れて40分程度で仕上がりますが、

「和晒」は48時間もの間、釜の中で水だけで煮ることで精錬され、

水洗いを経て出来上がります。

「和晒」は「洋晒」に比べ柔らかな肌さわりが特徴で、

それはこの丁寧な職人の技のおかげなんですね。












晒を煮るための釜です。でかい・・・。





そして最後は事務所で寺田社長に質疑応答や今後の展開などについて

お話をお伺いしました。

今回の見学を通じて堺市の和晒産業の伝統と歴史の重みを感じ、

職人さんの洗練された技に驚き、畏敬の念を抱くとともにそれらを

「引き継いでいきたい」、「堺の文化を継承していきたい」という寺田社長の

熱く強いメッセージを受け取りました。


堺市の手ぬぐい産業は「織り」、「晒」、「染め」、「縫製」とそれぞれの工程を受け持つ会社が堺一帯に揃っていて地域で完結しており、逆に言うとどこかが欠けてしまうと

産業として成り立たなくなってしまいます。

ですので、寺田社長の思いや「hirali」に代表される新たな取り組みは

堺全体の産業の未来につながってくるということなのですね。


昔は市内を流れる石津川で真っ白な晒を洗い、

野山で晒を敷いて乾かす光景が堺にはあったそうです。


それはきっと堺に暮らす人たちの原風景で今は見ることはできない暮らしの風景ですが、

そこに宿っていた魂は今も堺の手ぬぐい文化として残っており、

それをさらに後世に引き継ぐために今日も「竹野染工」さんのロール捺染機は

動き続けます。


















文化を次世代に、そして後世に。人の暮らしの息遣いを受け継いでいく。

そのことの大切さやその営みを、見学したメンバーも感じ取ってくれていたようです。

働くとは稼ぐだけではない。

「文化を継承して後世につなげていく」ということでもあるのですね。



寺田社長、お忙しい中、ありがとうございました!

貴重な学びの時間をいただき感謝いたします!



「竹野染工」さんの製品が、思いが、世界に届き、

堺の文化がさらに地域に根付いて新しい風景がうまれますように!




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