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執筆者の写真乙訓もも

本日はひきこもりに関する学習会第3回でした!


乙訓ももで年6回にわたり開催しておりますひきこもりに関する学習会、

今日はその今年度3回目、京都市東山区で「不登校・ひきこもりを考える親の会」 

“シオンの家”で世話人を務めておられる上坂秀喜さんにお越しいただき、

『「親の会」から見える景色』と題してお話しいただきました。























上坂さんはご自身のご家族がひきこもり状態にあったことなどから「親の会」を設けられ

時間と場所を提供すると世話人というスタンスで20年にわたり活動されている方です。



今回上坂さんには『「親の会」から見える景色』というタイトルでお話しいただき、

単に「親の会」や上坂さんの活動紹介だけを紹介いただくのではなく、

その「親の会」から当事者やご家族自身、そして社会はどのように映っているのか、

親の会から見える景色についてお話しいただく企画としました。


まずは上坂さんから親の会とはいったいどういうものかを伝えていただきました。


親の会とは

“自分のことは自分で行い”、“相互に助け合うという「自分達で支えあうグループ」で、

不登校・ひきこもりの当事者の親が中心となり、

(当事者や不登校・ひきこもりに関心のある方等もOK)

親自身が自分たちのために、自分たちの力で助け合いながら運営していく集まりのこと。


特徴としてはそれぞれが共通の悩みを抱え、

その悩みを解決するという共通の目標を持っていて、参加は自発的なもので出入りは自由。

そして参加者は対等で相互援助の関係性にあるということ。


一言でいうと「親の会」は、「温泉」で、

ゆったりと“こころ”と“からだ”を温める場であり、

子どもと向き合う中でたまってくるこころの垢をお互いに流し合う場である。

と、お話しくださいました。
















なるほどです。お互いを慰め合ったりする場ではなく、労いあい、一緒に歩んでいく、

そんなイメージの場なんですね。


そして本日のテーマ 『「親の会」から見える景色』は、

次の4つの項目にわけてわかりやすく話されました。



【1】「親の会」から見える家族

【2】「居場所」から見える当事者

【3】世間(一般の価値観)からのズレ、圧力

【4】親亡き後の不安


【1】「親の会」から見える家族

お子さんが不登校やひきこもり状態になってしまうと、親は焦り不安になってしまいます。

すると親は正論で本人を説得し、焦りや不安から本人や他の家族を責めてしまい、

次に本人への怒りとなり、うまく育てられなかったと自責の念にかられることが起きます。

また周囲も子育てが悪かったからだと親を責めてしまうようになります。


そこで「親の会」では、様々な思いを正直に語ることで少し心が軽くなり、

語ることで自分の気持ちを整理することが可能となり、また辛い思いをしているのは

自分だけではないと受け止めてもらえた安心感が親に生まれてくるそうです。


この安心が非常に大切で、安心から心に余裕が生まれお子さんと向き合うことが

できるようになるそうです。


親の会で語り・話すことで、今までぼんやりしていた不登校・ひきこもりの現状が

個人レベルではないことなどへの気づきが、親の意識の変化に繋がる。


一番苦しいのは子どもなんだ、と。


ここ、ここです!

この気づきが本当に大切なんだと思います!


そしてその気づきを得ると、価値観の転換を余儀なくされるのです。

(子どもの命を守るために・・・けっして大げさではなく)


簡単なことではないと思います、価値観を変えることは。

でも親自身が世間的な当たり前から「さよなら」をすること、覚悟することが

大切と説かれる上坂さん。


親自身の価値観・生き方を作り直すことで、

子どもはこころを開いてくれるのではないだろうか。


このように問を投げかけて下さいました。
















【2】居場所から見える当事者では、


目の前に現れた当事者は親の会で親から語られた姿とギャップが往々にしてあるそうです。


話さない、わがまま、部屋で何をしているのかわからない・・・


実際に当事者にお会いすると、話しかけると返答されたり、協調性もしっかりあって、

部屋では自分の趣味や関心のあることに取り組んでいたり・・・


そして外に出た当事者は元気に見せないといけない!という思いから、

頑張りすぎてしまったり嫌われたくないと不安を募らせたりしながら、

少しずつ話せるようになるそうです。


さらに担当者や参加者同士の信頼関係が成り立って、本音が話せるようになります。


それは親・家族への恨みと感謝の気持ち。

辛い、さみしい、孤独、人と違ってしまって情けない、迷惑をかけてしまっている、

感謝の気持ちはあるけれど、今は口に出せない・・・などなど・・・


・家庭内では素直になれない感情を理解してほしい


・親も自分の人生を楽しんで欲しいという親への思い


ここで家庭内で本人の役割があると、「ここにいてもいいんだ」という安心感につながると

具体的な対処法を教えて下さいました。















【3】世間(一般の価値観)からのズレ、圧力


「親の会」から世間を見ると、ひきこもり状態にあることの周囲の不理解から、

世間(一般の価値観)からのズレ、圧力を見えてきます。


みんながんばっているのに、親が甘やかすからだ、働きもしないで、育て方が悪いからだ、

なまけもの、もっと困っている人がいるのに、、、、、


しかし今の社会構造では、

ひきこもりは誰にとっても日常としてありうることではないでしょうか。


いじめ・就職難・非正規雇用・リストラ・・・・


ひきこもり状態にある人は、

人のやさしさや痛みに敏感で、そうであるからこそ傷つき、恐れ、自ら社会から距離を

置いてしまう。それは人を気遣い、人を押しのけないというやさしい気持ちからなのでは

ないのでしょうか。


不登校でも、ひきこもっていても当たり前で、許される社会に・・・


競争主義の社会・学校の存在は「親の会」を超える大きな課題で、不登校・ひきこもりを

きっかけにみんなで考えるべき課題であると、上坂さんは訴えます。


不登校やひきこもり状態にある人は、言わば今の社会の問題や課題を体現してくれている

写し鏡のような存在ではないでしょうか?


ひとを生産性だけでとらえず、誰もが自分らしく生きることができる、

それが当たり前の社会をつくる必要がある。


そのことを教えてくれているのではないでしょうか?
























【4】親亡き後の不安


ひきこもり状態にある人の平均年齢も30歳を超え、8050問題などにあるように

当事者もその親も高齢化しています。


以前はひきこもり支援も社会参加から就労をゴールにしていましたが、

双方が高齢化する中で、支援も十分ではなく社会の不理解や不寛容もあり、

それも難しくなっているのが現実です。


今後は親子でどのように人生を生きていくかお金と真正面に向き合い、

ライフプランを立てて解決策を見つけていき、親子それぞれがどんな人生を歩むのか

模索する必要があるということでした。


ひきこもりのゴールは?という問いに答えはないが、共に考えることが大切であると

強調された上坂さん。


悩みを抱えながらもなんとか生きていく力を持つために、


・孤立しないこと、・誰かと繋がっておくこと、・今からできることはすべてやっておく


この3つを忘れないでほしいと話されました。



そして最後に、

「本人の力を信じて応援してほしい」と、結ばれました。























今日は支援機関の方を始め、当事者ご家族の方も多く参加されました。


上坂さんのやさしい、岩に染み入る川の流れのような言葉が参加者の方の

心と身体に響いたように感じました。


辛い、悲しい、怒り、情けない、様々な感情が混然一体となっている当事者ご家族。


その気持ちを少しづつ吐露し、固まってしまった心を解し合いながら心に少しの余裕を作り

本人を理解できるように自分の価値観を変え、共に生きていく方法を探し出す、


一緒に大陸を目指し航海をする船の仲間のように。


そうなるための親御さんの入り口が「親の会」なのでしょうね。


私たち支援機関も、もっともっとこの事実を社会に伝え、

社会そのものが変わっていく必要があります。


今日参加された皆さんはどのように感じ、どのような思いを持たれたでしょうか?


簡単ではないことも多いと思いますが、

少しずつでも行動に移していただければと思います。



社会には十分ではありませんが、様々な制度や支援機関や社会資源があります。

それらとつながっていただき、支援者も皆さんとつながりあい、共に歩んでいけるように。


上坂さん、本日はありがとうございました!

上坂さんのご活動を応援しております!

そして今後ともよろしくお願いいたします!!







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