先週の3月11日木曜日、京都府ひきこもり支援地域チーム・チーム絆乙訓地域担当として
企画いたしました「令和2年度支援者交流会第2回」を無事開催することができました。
ご縁がありご登壇いただいたのは滋賀県甲賀市・湖南市に事業所を構えておられる「さわらび福祉会」の総合施設長であり甲賀・湖南ひきこもり支援『奏ーかなでー』事務局長を務めておられる山﨑秀樹さんをお招きし、「普通」という名の壁~ひきこもり支援の実践から見えた社会~というタイトルでご講演いただきました。
今回コロナ禍ということで会場参加は25名と限定させていただき、
同時にオンラインでの配信という乙訓ももにとっては新しい試みにもチャレンジし、
ハイブリッドな方法で開催いたしました。
参加者は行政や支援機関の方はもちろん地域の方や当事者のご家族も多くおられました。
またオンラインでの配信ということで当事者や遠方の方もご参加くださり、
ロケーションに関係なくお聞きいただけたことは大変プラスであったと感じています。
次回以降もこのハイブリッド開催を行い、より広い層の方々に距離を越えてお届けして
いきたいと考えております。
交流会はまず3月11日に開催したということで皆様のご協力の元、
黙とうから始めさせていただきました。
そして「さわらび福祉会」の山﨑さんの講演に入ったのですが、
山﨑さんのやさしい語り口調と言葉を選びながら丁寧かつ親しみのあるお話しぶりが
とても印象的で聴きやすい講演だったと思います。
講演内容は
「さわらび福祉会」の紹介から始まり、
Ⅰ.「ひきこもり」を取りまく社会
Ⅱ.『奏ーかなでー』の取り組み
Ⅲ.ひきこもり支援に必要な視点
Ⅳ.潜在する「生きづらさ」に向き合うこと
という流れで進行されました。
内閣府のひきこもり状態にある方々の推計や2000年に起こった新潟少女監禁事件、
まだ記憶に新しい2019年5/28 川崎通り魔事件や 6/1元農水事務次官長男殺害事件についても触れられ、「ひきこもり」を取りまく社会について改めてお判りいただけたかと思います。
そして2014年9月に正式に発足した滋賀県の縁(えにし)創造実践センターは、
滋賀の福祉関係者・団体が、高齢者、障害者、保育、児童という分野を越え、
また支援者や当事者という立場を越えて結集し作られ社会的孤立や、
重なり合う生活課題を抱えながら支援につながらない人、制度のはざまにいる人たちを
見過ごさず、「おめでとう」から「ありがとう」まで、一人ひとりだれもが大事にされる
地域づくりを目指しておられること。
「制度がないからとあきらめず、少しずつでも力を出し合って困っている人を支えよう。」と縁センターでは、約200の法人・団体・個人が会員となり、そのために必要な事業費や知恵を出し合われたこと。
「気づいたものが実践する」ことを基本姿勢に、制度だけでは解決できないさまざまな課題について、支援の充実や制度化をめざしてモデル事業の実践を進めておられることをお話しくださいました。
もうこれだけでもすごい・・・と。
そしてモデル事業に5年という期限を自ら設定し、5年後には制度にするという強い決意で
始めておられたとお聞きし、この事業の本気度が伝わってきました。
そして甲賀・湖南ひきこもり支援『奏ーかなでー』の取り組みについてお話しいただき、
「奏―かなでー」の職籍や立場を越えて民生・児童委員協議会、県・市社会福祉協議会
保健所、市担当課(障がい福祉、生活困窮、健康政策各関係課)などが集まった運営会議で対象者のケース検討を徹底的に行い、そこで話し合われた方法を実践に結び付けておられることを教えていただきました。
この運営会議は「アウトリーチ・奏サロン部会」、「家族支援部会」、
「地域啓発・交流部会」の3つの部会から成るそうです。
この後、具体的なケース事例をご紹介いただき、「ひきこもり支援に必要な視点」や
「潜在する「生きづらさ」に向き合うこと」についてお話になりました。
そして講演のタイトルである、
ひきこもる人たちと社会との間にそびえ立つ「普通」という名の壁。
それは「普通」に仕事について、「普通」に車買って、「普通」に結婚して、
「普通」に子どもをつくって・・・そうでない人は「普通」ではない、
社会構造から排除されてしまったように感じている人たち。
0か100かで評価されてしまう市場主義・普遍主義の社会が作り出しているものだということをお伝えいただき、
「ひきこもり」状態にある人が、隠れなくてもよくなる社会は、おそらく、誰にとっても暮らしやすい社会!というフレーズで講演を締めくくられました。
講演を通じ山﨑さんの言葉は今まで実践されてきた強さとやさしさに裏打ちされたもので、とても説得力があり、何と言いましょうか、深みのようなものを感じました。
そして講演後の質疑応答での参加者の言葉にありましたが、湖南市・甲賀市の人口は乙訓地域と似通っており参考にすべき点は多くありました。
「さわらび福祉会」のこの実践をモデルに乙訓地域ではどのような形でひきこもり支援を
行っていけばよいかカスタマイズする必要がありますし、解決すべき課題ももちろん
あります。そして熱量も必要ですね。
山﨑さんのお話を伺い、
ひきこもりの問題を地域の問題として捉え、行政、支援機関、教育機関、住民、企業や個人事業主、あるゆる社会資源がチームとして関わっていくことが求められており、地域問題を主体的に解決していく風土と文化を乙訓地域に創り上げるうねりを生み出さなければならないのでは・・・と感じました。
皆様にご協力いただきました会場参加者のアンケートでは、「とてもよかった」、「よかった」との回答のみで高評価をいただいております。きっと今、乙訓地域に必要な講演内容だったということですね。
オンラインでの配信でも大きなトラブルはなく、より多くの方にこの講演をお聞きいただけたことは私どもにとっても大きな収穫でした。そしてこのオンライン配信は外部の方に
多大なるご協力をいただいたことを付け加えさせていただきます。
「令和2年度支援者交流会第2回」「さわらび福祉会」の山﨑総合施設長、「普通」という名の壁~ひきこもり支援の実践から見えた社会~は無事終了することができました。コロナ禍にもかかわらずこれで今年度のセミナー関連はすべて終了し、これもひとえに皆様のおかげと感謝しております。
来年度も皆様に、そして私たちに必要な学習会・支援者交流会を
企画・開催していく所存ですので何卒よろしくお願い申し上げます。
そして今後もどうぞご期待ください!!
参加いただいた皆様、山﨑さん、ありがとうございました!
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