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執筆者の写真乙訓もも

企業見学日誌後編「Theatre E9 Kyoto」の巻

更新日:2021年3月18日

 先日基礎的就職支援事業で行いました企業見学、今日はその後半です。

今年度つながりをいただいた京都中小企業家同友会さんの求職困難者支援ネットワーク

「いっぽねっと」でコーディネイトしていただいた企業見学。


 前回の「村上開新堂」さんに続きまして、

後半は京都の南区東九条に誕生した小劇場「Theatre E9 Kyoto」です。























「Theatre E9 Kyoto」は2016年に一般社団法人アーツシード京都さんの

小劇場・ギャラリー・カフェ・レジデンスを併設させた複合文化施設「Theatre E9 Kyoto」を創設するプロジェクト」により誕生しました。

(後に小劇場、コワーキングスペース、カフェによる施設に変更)


 京都では昔から比較的多くの小劇場があったのですが、オーナーの高齢化や建物の老朽化により2015年から2017年にかけて、5つもの小劇場が閉鎖される事態となりました。









エントランスで説明をして下さる蔭山支配人。










 小さな劇団が使用する小劇場のような民間の劇場から国内外で活躍する俳優やダンサー、

演出家が輩出されるなど、文化芸術に携わる若い人材が舞台芸術の底辺を支えているのですが、自由に、安価に使うことのできるブラックボックス形式(天井も壁も床も黒一色の内装のこと)の民間劇場が今、京都から無くなりつつあり、表現する「場」がなくなれば

舞台芸術を支える「人」が育たなくなります。




場所を劇場内に移して

説明いただいています。




これがブラックボックス式の劇場です。






 これは舞台を含めた京都の文化芸術がややもすれば消滅してしまうことを意味しており、

そのことに危機感を覚えた「Theatre E9 Kyoto」の支配人・蔭山 陽太さん、芸術監督の

あごうさとしさんらは「舞台芸術」の創造環境は、構造的な転換点を迎えていると捉え、

文化芸術に関わる人間として、「舞台芸術」の創造環境に一石を投じたいと

このプロジェクトを立ち上げられたそうです。




舞台からみた客席側です。

黒いイスも長時間腰かけていることができる特別なイスです。

演者の方たちはこういう風景を見ておられるのですね・・・



 このプロジェクトはまず小劇場を建設するに適した物件探しから始まり京都市南区の

東九条に倉庫を見つけられたのですが、ここから劇場建設の申請書類を整備するのに

必要なお金を当時はまだ少なかったクラウドファウンディングでお集めになり(スーパーカーやクルーズ船が購入できるくらいの金額)、そこから劇場建設で要求される耐震・防音・

換気などの厳しい基準をクリアする為の建設資金集めに東奔西走され、また劇場経営を

持続可能なものにするために今までとは異なる事業展開も行い、「100年続く小劇場」と

いうコンセプトで経営し運営されています。








左側にある壁で仕切られた空間が

いわゆる舞台裏と呼ばれるもので、

この壁の背後の狭い空間を通って

左右から役者が登場することができるように

作られています。









 今回の企業見学は支配人でありこのプロジェクトを仲間とともに立ち上げられた蔭山さん自らご案内いただきました。

蔭山さんは大阪の大学を中退後、人生のキャリアを北海道で料理人としてスタートされました。しかし食材とだけ向き合う日々に疑問をお感じなり、東京にいる友人を訪ねた際に

たまたまスタッフの募集があると聞いた民間劇場に赴かれたことで、演劇の世界に足を踏み入れることになった異色の経歴をお持ちの方です。


 最初に応募された劇場は訪ねてみると実際は職員を募集されておらず、

「せっかく北海道から来たんだから話を聞こうか」と面接が決まったそうです。

こんなきっかけって、すごいですね・・・







トイレの表示はワークショップを行って

お決めになったそうです。


男女の表示がなく機能の表示のみです。


使いやすいトイレってことだけでいいよね

ってことでこの表示になったそうですよ。










 そこから劇場や劇団など演劇界でお働きになり、松本市や神奈川県で支配人として公共劇場の立ち上げや運営の仕事に携われた後なんとロームシアター京都の支配人の職にも就かれ、現在ではその職も退任して「Theatre E9 Kyoto」の支配人をされています。


 波乱万丈というか、何にも縛られない生き方と言いますか、

お伺いしている間は本当に驚いてばかりでした。



 大きな思いを持って「Theatre E9 Kyoto」を立ち上げられた経過経緯は本当に苦労の連続

だったそうですが、在日コリアンの方が多く住まわれ多文化共生が町のテーマになっている京都の東九条という場所に芸術を表現する小劇場が誕生したなんて、なんだか刺激的で

すごく意味のあることだと思いませんか?

「Theatre E9 Kyoto」では芝居はもちろん、ダンスや映画などの様々な芸術活動を安価で

鑑賞することができます。












楽屋も見学させていただきました。

このほか、シャワーや簡単な調理ができる設備などもありました。



 蔭山さんはこうおっしゃいます。

舞台は劇場で観客と一緒になって創り上げるもの。一度、まず舞台や芝居を観てほしい。


 舞台や芝居はまさにライブで、いいものになるかどうかはやってみないとわからない。

だからこそ面白いし、観てほしいと。


 また人間は誰もが生まれてからずっと生活の中で日々、いつも何かを表現している。だから芝居や舞台は生活の延長線上に過ぎないとも話されていました。


 芸術は福祉と同じでもっと私たちの身近にあるはずのもの。

そう感じることができるのは小劇場なのではないでしょうか?


















 蔭山さんは訪問したメンバーに本当に熱心にそして丁寧に案内と説明をしてくださいました。

 伺ったお話から、いろんな生き方があっていい、決まった生き方、働き方でなくても

いいんだというメッセージをメンバーは感じ取ってくれたような気がします。


 蔭山さん、今回は本当にありがとうございました!



また舞台を観に伺えたらと思います!


 前後編にわたってお届けしました企業見学日誌。

今回伺った「村上開新堂」さん、「「Theatre E9 Kyoto」さん、

それぞれ対照的な部分がある企業でしたが、

思いを持って持続可能な経営を目指しておられるところは共通していました。



 そしてそれは「ひとを大切にしている企業」という言葉で表現できるのかも知れません。


 今回の企業見学もとっても濃くて有意義な時間になりました!


 最後にコーディネイトいただいた京都中小企業家同友会「いっぽねっと」さんに

心より感謝申し上げます。


 ありがとうございました!



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