昨日、基礎的就職支援事業の職業体験プログラムでメンバーと一緒に
長岡京市で塗り壁や漆喰塗りの施工をされている「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」の
三谷 涼さんの工房に伺い、左官の職業体験に行ってきました。
昨日のブログではその前半の壁塗り体験の様子をお届けいたしましたが、
今日は後編として後半の模様をお伝えしたいと思います。
さー、いよいよ、三谷さんの工房に入りますよ!
工房内は様々な左官の仕事の見本や、原材料に道具類などが保管されており、
さながら秘密基地か隠れ家のような雰囲気で、とっても素敵なアトリエでした。
さて、この素敵な空間でどんなことを体験させていただけるのでしょうか?
それは、
じゃん!!ピカピカの泥だんごづくりでした!
三谷さんは【泥だんごプロジェクト】を立ち上げ、
泥だんごを通じて子供から大人まで「遊び」ながら左官を「学び」、「表現」する活動に
取り組まれており、左官の仕事を楽しく知ってもらうことでその技術を伝えていきたいと
考えておられます。
もともと泥だんごは左官職人がその技術を向上せるために始めたものだそうです。
三谷さんは小学3年生の時にカセットラジオから流れる音楽に合わせて
まるで踊るかのように壁塗りをされている左官職人の方の仕事ぶりを見て、
そのカッコよさに憧れて「俺は左官職人になる!」と心にお決めになったそうで、
15歳で弟子入りし2018年に「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」として独立されました。
左官でしか表現できない仕事、自分しかできない形など様々なことにチャレンジし
生まれ育った地元京都の建物を左官と言う技術で綺麗に守り続けていく事を
自分の使命とされている方で、
左官と音楽を融合させた「作音プロジェクト」という独自の活動もされており、
メディアにも何度も取り上げられている超ユニークな左官職人さんなのです!
そんな熱い、楽しい左官職人の三谷さんから左官の仕事をたっぷりと体感できる
泥だんごづくりを体験させていただきました!
まずは泥だんごの芯を選びます。
大きさはいろいろなので、
自分の好きなものを選ばせて
くださいました。
そして自分で気に入った泥だんごの芯を選んだら、
次はどんな色の泥だんごを作りたいかを決めます。
この日は合計8色の色を
用意してくださいました。
この中から好きな色を自分で決めます。
この色のついたものは漆喰と呼ばれるもので消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とした
塗り壁材です。 消石灰(水酸化カルシウム)とは、石灰石を焼いて水を加えたものです。
消石灰とはグランドに引く白い線の粉ですねwww
ここまで三谷さんは、どの大きさがいいとか、どの色がお勧めとかは、
そういったことはいっさいお話されていません。
それは自分の好きなように選んでいい、
価値観や好みは人それぞれ、それでいいということを伝えてくださっています。
ここにも三谷さんのスタンスが現れています。
好みの色の漆喰を選んだら三谷さんが
適量を紙コップに入れてくださったので
説明を聞いている間、ネリネリします。
はい、
みんなでネリネリネリネネリwww
そしていよいよ漆喰を塗っていきますよ!
泥だんごの芯に漆喰を少し置いて、
薄~く伸ばしていきます。
この時に使うのが
なんとフィルムケースです。
フィルムケースって
言葉を知らないメンバーもいましたが、
それは仕方がないですよね。
今はあまりフィルムって使わないですし。
しかし・・・ショック!ジェネレーションギャップ!!
このフィルムケースの蓋を取った口の部分を使って芯の球体の面に沿って
円を描くように漆喰を薄く伸ばしていきます。
お、
こちらは目が覚めるような青色ですね。 伸ばして伸ばして伸ばして~
この工程を3回繰り返すのですが できるだけ薄く、均等に漆喰を
塗り重ねていきます。 1回の塗りが終わるごとに フィルムケースの口に着いた漆喰をキッチンペーパーできれいに拭きとります。
これは色を塗った芯の表面に
乾いた漆喰で傷がつかないように
するためです。 このような細かい丁寧さがあのピカピカの泥だんごを生み出すんですね。
つまりはこれも左官の仕事ということになります。
三谷さんは塗りこんでいる時に色をイメージして、出来上がりをイメージすることと
何度も繰り返しおっしゃっていました。 また塗り込んでいるとキキキッといった音がする時があるのですが
これはあまりよくない兆候で、音がしたときは漆喰を足していきます。 塗りの状態は三谷さんがしっかりチェックしてくださるので
安心して作業に取り組むことができます。
どうです!しっかりと塗り込んでいるでしょ!
そして漆喰が乾くまでしばらく待ちます。
そして次は、
取りい出したるこの油を 色を塗った芯に沁みこませます。
手のひらに油を落とし両手で揉みこむように油をまんべんなく沁みこませていきます。
この油はオリーブオイルだそうです。 そして油が十分沁みこんだら、ついに最終工程。
磨きの工程です。
これが一番大変です。
漆喰を塗り、油を沁みこませた泥だんごを磨くのはこれ!
なんと、梅酒の小さな空き瓶です。
この梅酒の空き瓶も口の部分の縁を使って色の着いた泥だんごの表面を円を描くように
最初は優しい力で徐々に力を強くしていきながら均等に磨いていきます。
はい、磨いて磨いて磨いて~! 一度磨きだしたらノンストップ! 少しずつ力を込めていき、力を込めるともう後戻りできません! あとはひたすら強く速く磨くのみです!!
どぉうりゃぁぁぁぁーーー!! そして全員が必死で磨いて、三谷さんに確認していただき、ついに、ついに、
みんなのそれぞれのオンリーワン!
ピカピカ泥だんごの完成です!
スゴイ!ピカピカでこの発色!
泥だんごとは思えないこの光沢と質感!!
初めての体験でしたがクオリティーの高い泥だんごの完成です!
この泥だんごに左官職人の技が結集されているのですね!
まさしく、「遊び」ながら左官を「学び」「表現力」を高め「個性」を発揮する形が
泥だんごにはあります!
素晴らしきこの体験!!
今回、壁塗りに始まり泥だんごづくりまでと手厚く、熱心に左官の職業体験を
楽しく用意してくださった三谷さんから最後にメンバーに向かってこんな言葉を
いただきました。
みんなそれぞれ異なる価値観を持っているし、それでかまわない。
違う価値観をもっているなら、何事にも挑戦してみよう!
まずは挑戦すること。
そうすれば今いる世界の見方が変わってくるはず・・・。
そして後からもこのようなメッセージを三谷さんからいただきました。
楽しみながら学ぶ事が何よりも一番だと思います。
見ようとしないと見えない世界があります!
て言うか見えてない世界の方が殆どだと思います。
無限の可能性があると分かってても中々思うようにいかないです。
そんな見えない世界の掛橋こそが人との出会いだと思います。
出会った事で関わるコミュニティや環境が変わる事で世界や周りの見え方もきっと変わる
はずです! 触れる情報によってもです。
最後に「価値観」の話しを少ししたら皆んな目つきが変わったのを覚えています!
他人や友人、親、先生、上司の言う事を聞いて「怒られないよう」「褒められるよう」と
行動を制限しながら積み上げていくと「正しさ」と言う価値観が育ちます。
その正しさが強固になると時として人と衝突しやすくなります。
行動を制限した所で必ず批判されるので、思う心地いい判断で積み上げた方が絶対に良いと思います。 気持ちに従って生きていた方が判断力が自ずと付くと思います。
とても暖かく、勇気づけられ、示唆に富んだ三谷さんの言葉。
必ずメンバーに届けたいと思います。
そして私たちも心に深く刻んで、決して忘れずに日々の関わりに活かしていきます。
地域にこんなに暖かく、力を貸してくださる方がいらっしゃる。
これはもう希望以外の何物でもありません。
本当にありがたく感じ、そして勇気が湧いてきます。
振り返りでは、メンバー全員本当に楽しかった、
そしてなかなかできない貴重な体験になったと口を揃えていました。
そして三谷さんの言葉は心に響いていると思います。
素敵な職業体験をさせていただいた「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」の三谷 涼さん、
本当にありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします!!
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